親知らずの症例
「難症例の親知らず」
Case.1
根弯曲、下顎管近接、
外部吸収の
難症例の親知らず抜歯
治療の背景
左下の親知らずは歯茎の中にあり、ほぼ完全に骨の中に埋まっている状態でした。
歯の手前側には「外部吸収」と言われる原因不明の歯の部分的な吸収が起こっていました。根の先の方は、弯曲しており、下顎の中を走行する神経・血管の束に接しているような位置関係でした。
患者様は今まで、痛みなどの自覚症状もないことから、通常であれば特に抜歯する必要性はなく、経過観察で良い歯です。しかし、今回矯正治療をすることになり、歯の移動のために、障害となるこの親知らずを抜歯する必要性が生まれました。
患者様には、難易度の高い抜歯で、麻痺等のリスクも高く、大変な抜歯であることはご説明させて頂きました。しかし、「矯正治療のために必要であれば、頑張ってみる」と決心され、抜歯をすることになりました。
抜歯前エックス線写真
抜歯した親知らず
破折しながらの抜歯でしたが、
根の先まで全て抜歯することができた
CT画像
主訴 | 矯正治療のための親知らず抜歯 |
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治療内容 |
術前にCT撮影を行い、三次元的な位置関係を精査しました。歯茎を切開、剥離し、歯は骨内の深い位置に埋まっていたため、上部の骨を削る必要がありました。 歯の頭出しを行ったのちに外部吸収が起こっている部分をさわると、歯が脆くなっており、抜くための力をかけると歯が割れてしまいました。 根の先が大きく弯曲しており、抜く際に折れてしまう可能性が高い形態でした。注意深く処置を行い、無事に抜歯することができました。抜歯した後、接している神経が抜いた穴の底に見えている状態でした。歯茎を縫合し終了しました。 |
治療時間 | 約50分 |
治療期間 | 1週間(抜歯当日と1週間後の抜糸) |
治療費 | 約8,000円 |
治療のリスク | 術後に痛みや腫れを引き起こすことがある かさぶたができず、術後に血が止まりにくいことがある 一時的にあざができる可能性がある 下歯槽管神経を損傷してしまう可能性がある |
経過 | 幸い、麻痺は起こらず、痛みや腫れの経過も大きな問題は起こりませんでした。 世の中のほとんどの歯科医院では、このような親知らずは、大学病院、市中病院への紹介となります。とても大変な抜歯ですので… |