親知らずの症例
「斜めの親知らず」
Case.1
痛みが出た、歯茎の中に
埋まっている親知らずの抜歯
治療の背景
以前に親知らず周りの歯茎が痛んだことがあり、抜歯を検討されていました。前医にて、何の説明もなく「抜歯」と言われたため不信感を抱き、セカンドオピニオンで来院されました。
右下の親知らずは、斜めに生えており、手前の歯に引っ掛かり、歯茎の中に埋もれている状態でした。
下顎の骨の中を走行する神経・血管と根が近接し、下唇麻痺のリスクがありましたが、過去に歯周ポケットからの細菌感染による炎症が起きていた経緯があり、今後、痛みが再発する可能性が高いことから、年齢が若く、親知らずの根がまだ未完成な今の時期に抜歯をしてしまうことをご提案したところ、患者様も痛みの原因や抜歯の理由、麻痺のリスクなど充分にご理解いただいた上で、抜歯をすることになりました。
術前CT画像
神経・血管の束を
黄色にマーキング
根の先と
神経・血管は近接
抜歯前
エックス線写真
CT画像

抜歯した親知らず
分割した
親知らず
手前の歯に引っかかっているため、分割が必要
主訴 | 親知らず周りの歯茎が痛むので抜歯したい |
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治療内容 | 二次元のエックス線写真では、根の先端と神経血管の束が接するように見えたため、三次元のCT撮影を行い、立体的な位置関係を把握、できる限り麻痺が起こらないように配慮した上で抜歯に臨むことにしました。 CTを精査すると二次元では接しているように見えた両者は、三次元では少しズレた位置関係にあり、直接は接していないことが確認できました。 歯茎を切開、剥離し、歯の頭の部分を分割し抜歯しました。根が未完成の状態で短く、抜きやすい状態だったので、手術侵襲は少なく、短時間で抜歯ができ、縫合し、歯茎を閉鎖して終了しました。 |
治療時間 | 約15分 |
治療期間 | 1週間(抜歯当日と1週間後の抜糸) |
治療費 | 約8,000円 |
治療のリスク | 術後に痛みや腫れを引き起こすことがある かさぶたができず、術後に血が止まりにくいことがある 一時的にあざができる可能性がある 下歯槽管神経を損傷してしまう可能性がある |
経過 | 歯茎を完全に閉鎖して手術を終えられるケースで合ったため、術後の出血は少なく、痛みも数日で軽快しました。麻痺もなく、腫れも少なく良好に経過しました。 患者様は20歳頃の方でしたので、数年後以降に根が完成してからの抜歯より手術は楽に早く済みました。一般的に加齢変化に伴い周囲の骨が硬化していくため、ある程度若いうちに抜歯をしておくほうが抜けやすい、と言えます。治りも早く、痛みも少なくて済むことが多いですし、麻痺がでた際の回復も若い分期待できます。 |